『経覚私要抄』寛正二年二月七日条≪現代語訳≫

一、楠葉新右衛門が語ったところでは、先月十八日の夜、室町殿が見た夢の枕に、普廣院殿(足利義教)が束帯姿でお立ちになり、「私は生前、多くの罪を犯してきたので、今の苦しみも一つや二つではない。しかし、善いこともたくさんしてきたのだ。

 したがってもう一度生まれ変わったならば、やはり将軍として生きるのが良いと思っている。そこで今現在、飢饉により多くの乞食たちが餓死しているので、彼らの苦しみを助けようと、施しを行ってその悲しみに報いたいのだ」とはっきりとおっしゃったのを聞いたところで目が覚めたのだという。

 そして(室町殿は)願阿という者に命じて、六角堂の辺りに一町分の仮設小屋を建て、乞食を多く収容し、大釜をたくさん作って設置し、そこに雪や水を引いてきて、毎日千五百疋ずつの食糧を夏になるまで用意させたということだそうだ。なんという有り難い夢想だろうか。大いに御利益のあることだろう。尊いことだ。
                               (作成:高木徳郎)

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です