二十九日
一、連歌師の宗祇が都から下ってきた。(彼によると)室町殿とその正室が、禁裏での御 歌合において、点を打ち、判詞を付けたため、(宗祇は)使者として成就院に参上したという。大乱の最中なのに、希有なことである。京都の周辺は全体として道の行き交いが不便で、ご通行は難儀するとのことだった。公武にわたって上の者も下の者も、昼に夜に大酒を飲んでおり、明日、出仕のための衣さえ酒を買う代金として与えてしまう。奉公をしている者たちは、今年のうちに世が平和になることがなければ、都を逃げ出す心づもりをしているところ、杉原賢盛は身分の高い人物なのに、一枚の衣もないので奉公・出仕ができないという。
正室は、天下のことをすべて取りしきっており、そのための資金をふんだんに用意している。戦陣にある大名・小名も、利子を付けてこれを借用している。天下の資金は、すべてこの御方のもとにあるかのように見受けられる。最近では、将軍より米蔵の設置を指示され、そこでの商売をはじめる準備を始めているようだ。大儀のためだという。畠山義統などは、先日、千貫も借用したとのことだ。
(作成:高木徳郎)
コメントを残す