『長秋記』元永二年十二月八日条 読み下し

●読み下し
八日(内侍所御神楽)、権僧正檀所に向かふ。中宮権亮實能参会して云く、今夜召人たるに依り、沐浴の為来る所なり。下官又召人なり。この旨を聞き、相共に沐浴す。次ひで伊予守の宿所に向かひ、細弓・鞆絃袋を送る。聟執の間件の物等入れるべしと云々。
今夜、甲斐守参河守有賢朝臣の家を過る。今夜露顕と云々。参内し蔵人等に問ひて云く、大将の御許より示される所なり。右近陣・吉上等訴え申す事有り。近日蔵人吉上を召し宿所を守護せしむ。又昼夜私便を行はしむ。陪膳を催さしむ、羇時乱罰に及ぶが如しと云々。件の事誰人為す所か。先例有るもこの限りに非ず。例に非ずんば早停止せらるべきなり。一旦觸れ申し承引無くんば、その時奏聞すべし、てへり。蔵人盛行に云く、件の事左衛門尉国能為す所なり。主上皆聞し食す所なり。今に於いては然る如くの事に候ぜざるか。やや久しくして出で行く。下官御剣に候ず。宗輔朝臣御裾を取り、南殿及び軒廊春興宜陽殿代等を経て、内侍所に入御す(長橋を構え筵道を敷く、)。先づ屏風中に於ひて御拝、次ひで南面御座に着御す。御拝の間南面御座に御剣を置き退下す。頭中将勅を伝えて云く、庭火本歌に奉仕すべし、てへり。形の如く奉仕すべきの状を申す。伊通朝臣和琴、成通朝臣末歌、殿上人着座す(西上北面、)召人着座す。殿上人は六人、伊通朝臣、忠宗朝臣、実能朝臣、成通朝臣、季成、下官等なり。地下元祐、清仲、忠光、定元、時貞、業兼着座す(西本、東末、)人長末方に在り。(列座、)近衛召人暫く着座せず。件の座四行なり(本末各二行歟、)。一献(宗輔、経忠、)、二献(顕重、貞信、)、三献(某、)、次ひで庭火、(本歌下官、末歌成通、琴伊通、笛清仲、篳篥忠光、)次ひで近衛召人着座す。本近方(拍子、)、秦兼信、同じく兼行、末時光(拍子、)、清原遠兼、秦公方、物取り了り勧盃す。才男を召し、陪従散楽す。元輔清仲㝡なり。事了り宗輔朝臣星歌に奉仕すべきの由仰す。仍って唱え了んぬ。今夜人長命に依り本方に着す。而るに風気甚だしきに依り末方に居す。伊通朝臣神楽の間業兼を召し座上に居し琴を弾かず。琴了り退御す。月入に帰家す。

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